自慢のトップブリーダー。

 

 

 
「にいさーーーーんっvV
 
 
語尾にハートを飛ばしまくって、ロロはルルーシュの細い腰へ飛び付いた。
それを少しびっくりしたように受け止めて、ルルーシュは照れたように笑う。
 
 
「…ロロはいつまで経っても甘えん坊さんだな。」
「えへへv」
 
 
デレデレな兄弟をいつものように見ないふりをして、作業を進める生徒会メンバーは慣れっこだ。
…まぁ約一名、いつまで経っても慣れない人間がいるのだが。
 
 
「あのさぁ、ルルーシュに構うの止めてくれる?仕事進むの遅くなるし。」
 
 
あえて空気を読んでいないスザクは、イライラ感丸出しでロロを睨んだ。
しかしこっちもあえて無視する方向にしたのか、ロロはスザクに目もくれない始末だ。
ぶちん、とあまり太くない神経が切れた音がした。
 
 
「ルルーシュ!どうにかしてアレ!何なのアイツ!意味分かんないし無視するし!」
「っ落ち着けスザク!分かった、分かったから取り乱すんじゃない!!」
 
 
このままではあらゆる物を破壊し尽くしそうな少年を押さえて、愛しの弟に軽く注意を促す。
コイツが一度切れると厄介なのだ。面倒事はゴメンというのがルルーシュの本心なのだが。
 
 
「ロロ、スザクが怒るから止めなさい?」
「えぇーー??」
 
 
その注意もどうかと思うぞ!
リヴァルは本気でそう突っ込みたかったが、言える状況ではない。
隣の騎士様が、何ともいえぬ絶対零度のオーラをお出しになっているのである。
あぁほら!めっちゃ黒く笑ってるよこの人!今日の夜どうなっても知らないよ俺!
リヴァルの叫びは、どんなに思っても結局は届かない。
 
 
「兄さんは僕と枢木さんのどっちが大事なのさっ。」
「えぇっ!?何をいきなり、」
「僕は兄さんに何とも思われてないんだーー!!」
 
 
ぐずり始めたロロを、おろおろしながらルルーシュはあやしている。
だが気付いてほしい。その涙、本物にあらず、ですよ?
よしよしとか言いながら宥めるルルーシュの姿を、スザクはそれはものすんごい眼で見ていた。
 
 
「ふわぁぁぁぁん!兄さんなんか嫌いだぁぁぁぁ!!」
「ごめん、ごめんなロロ!別にお前のことが嫌いになったんじゃ、」
「…じゃぁ、さっきの質問の答え聞かせて?」
 
 
あわわわわ…、この状況は非常にまずい。
まず身内に甘い彼は100%の確率で弟を取るだろう。その時のスザクなんか気にも留めずに。
そして明日は学校を休むのだ。具合が悪いとか言ってるが、単にお仕置きで足腰が立たないだけなのを、近しい者が気付いていないわけがない。
頼むから答えるな!そんな願いも空しく、まぁ予想通りの展開へと話は進む。
 
 
「っ、もちろんロロは大切だよ。だからそんなに泣くな、な?」
「―――ありがとう兄さん!やっぱり僕兄さんのこと大好きっ!」
 
 
小悪魔と般若の対峙、見たくねー!
てかスザク顔コワっ!般若見たことないけど般若って言える自信ある!
あまりな空間に、シャーリーなどはもう泣きそうである。リヴァルはもう泣いてるし。
 
 
「…ルルーシュ」
「もちろんお前も忘れてないぞ。ほら、こっち来い。」
「ぅえ!?」
 
 
何かものすごい黒いものを背負っていたスザクに対し、ルルーシュは仕方ないなといって手招きをする。
さながら拗ねてしまった飼い犬を呼び寄せるかのように、優しくのおまけつき。
 
 
「俺は、ロロもスザクもどっちとも大事だから、な?」
「ルル……!」
 
 
くろろぎ様が、忠犬スザクに変わった瞬間である。
てかさっきから妙に空気が甘いんですが!あれ、もしかしてとは思ってたけどあの関係ですか!?
妙に幸せそうな二人と不満そうな一人を除いて、生徒会メンバーは固まってしまった。
というか、ルルーシュもてもて。
 
 
「よしよし、拗ねるなロロ。あぁほらスザクも!」
「兄さんっ」
「ルルーシュっ」
 
 
「なんかルル犬のブリーダーみたい。」
「まったくの同感。よくやるよなぁ!」
 
 
 
 
 
これがうちの自慢のトップブリーダーのルルーシュ、です!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
End.