九話妄想話。

 

 

 
 
 
これでもかというくらい妄想。本編無視にもほどがある。
ジノがすんごく可哀相な扱いです。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  
  
  
 
 
 
 
 
「チェックメイト。さぁ、仮面を取ってもらおうか、ゼロ。」
 
 
ざわざわと観客のざわめく声がする。
少し考えるように黙った仮面の男は、やがてその手をゆっくりと仮面にかけた。
傍らのカレンが慌てたように止めようとするが、それをゼロは制止する。
 
 
「…ゼロ!素顔がばれたら貴方はッ!」
「いいんだカレン、約束だしな。さ、これでどうかな?殿下?」
 
 
漆黒の絹髪がはらりと舞って、隙間から至高のアメジストが顔を覗かせた。
皆それぞれが驚愕の声を漏らす。それは仮面の下の素顔が幼すぎたものにだが、むしろその彫刻のような造形美への溜め息をつきたい。
シュナイゼルも少し驚いた表情を見せたが、やはりというように目を細めた。
 
 
「君だったんだね、ルルーシュ。」
「お久しぶりです兄上。チェスの腕前は変わりませんね。」
 
 
苦々しく唇を歪めながら、ゼロ・ルルーシュは目にかかる前髪を払う。
自分の腕に自信があった彼としては、よほど悔しかったらしい。
仕草がいちいち雑なのは苛立っているせいなのだろう。
そんな様子を見て取ったのか、シュナイゼルは楽しそうに笑って顎に手をやった。
 
 
「君は昔から変わっていないね。負けた時の態度といい、ひねくれた口調といい、」
「えぇい黙れ!昔話に浸っている余裕などないわっ!!」
 
 
恥ずかしい過去まで暴露されそうになり、思わず顔を赤くして怒鳴ったルルーシュを皆が可愛いなんて思ったことは秘密。
そんな愛しの弟を見て調子に乗ったのか、兄上様はとんでもない爆弾を投下してくれた。
 
 
「そう言えば、君を初めて負かしたのは私だったな。あれは気分が良かった。…あ、そうそう初めてと言えば、《初めての夜》もわたs」
「にぎゃああぁぁぁ!!それ以上言うなァァ!!」
 
 
周囲の人間はまずドン引きした。
こんな所でホ○宣言、しかも皇族の結構偉い人。ぶっちゃけ聞かなかったことにしたい。
少年は相変わらず顔を真っ赤にして怒鳴り散らしており、第二皇子に掴みかかっている。
と、その怒りの矛先をふいにラウンズのセブンへと変えると、先ほどまで掴んでいたモノを指差し涙ながらに訴えた。
 
 
「スザク!お前あいつの部下だろ!なら全力で黙らせろ!何にょ…ひうっ!?」
 
 
あまりにも早口で捲し立てたためか、舌を噛んだらしく急に口元を押さえる。
きゅーんと来るような仕草にその場の全員がくらりときた。
てゆーかもう無理、抱きしめたい!
溜まることの限界量を超えた涙がぽろりと落ちたのを気にもせず、子犬のような舌を出してハフハフとするゼロを、捕らえようとする者など誰がいよう?
 
 
「ほらルルーシュ、お水。」
「~~~っっ」
「こらっ舌だけつけるなんてお行儀わるいよ?」
 
 
無防備なルルーシュを狙って、コップの水を差しだすナイトオブセブン。
下がりまくって地に落ちた好感度を上げようと必死である。
それに気がついたのか、優しくされる覚えはないと言わんばかりに拳を振り上げるがその手を突然ぎゅっと掴まれた。先をたどると先ほどとは違い何やら不穏な空気を纏うくろろぎ様が。
 
 
「そう言えばさぁ、ルルーシュ。」
「にゃん…にゃんだ。」
 
 
言い直したのに、結局直ってない。
 
 
「君の初めては俺じゃなかったの?」
「(手が痛い…!)さ、さぁ?」
「そう。俺が初めてだと思って優しくしてきてあげたけど、前に男がいたんだね?」
「…だからどうしたという、ひっ!」
 
 
口元は笑っているが、目が全く笑ってないスザクが突如としてルルーシュを拘束した。
軽く耳たぶを噛まれ、喉が引きつったような音を立てる。
 
 
「また本国で拘束服プレイもいいかなって思ったけど気が変わった。今ここで犯す。」
「ふっふざけるな!放せ鬼畜外道ドエスぎゃぁぁぁ!!」
「…もう少し色気ある声出せないの?ま、遠慮なく」
「待ちたまえ!弟をヤるのはこの私だ!」
(ややこしいの来んなーー!でも助かった!)
 
 
今まで傍観するだけだったシュナイゼルがいきなり口を挟み始め、スザクと口げんかを始める。
泥沼化一直線な事態に、どちらも失せろ!頼むから!とルルーシュが本気で思い始めたその時。
目の前に大きな薔薇の花束が差し出され、今度は何だとばかりに見ると、そこには金髪の三つ編みが。
 
 
「私と末永くお付き合いしていただけませんか?キング。」
「…は?え、あ」
「一生大切にしますかrうぐッッ!!」
 
 
三つ編みが床に崩れ落ちたその先には、ピンクの髪の少女がいた。
恐らく彼女が暴力で黙らせたに違いない。だって右の拳が固く握られているのがよく分かるから。
 
 
「ルルーシュ、様?」
「っはい!?」
 
 
ふいにきゅっと両手を握られ、声がひっくり返る。
もしや自分も殴られたりするのだろうか?体格の良いあの男が再起不能状態なのだ。
あれが自分の身に起こったらと思うと、恐ろしくてどうしようもない。
だが彼女はそんな素振りは全く見せず、むしろ慈しむようにそっと握る手に力を込める。
 
 
「貴方はシュナイゼル殿下のもの?それともスザクのもの?」
「っどちらのものでもない!」
 
 
ルルーシュの答えを聞いて、少女は満足そうに微笑んだ。
 
 
「なら、私のものになって。」
「…え?」
 
 
いきなり何を言い出すのかと怪訝な目を向ければ、そこには小動物のような縋る目が。
 
 
「いや?私だったら、いや?」
「え、いや、その、」
 
 
小さいものにはトコトン弱い。彼最大の弱点である。
陥落するのも、時間の問題なのだ。
 
 
「私のこと、嫌い…?」
 
 
この手で何度ロロに騙されたことか!
ルルーシュにはそれが分かっていた。が、やっぱり抗えはしなかった。
 
 
「そんなわけないだろう!俺はお前のものだよ!いいよそれでもう!」
 
 
最後にはチクショーと投げやりな自暴自棄になって、ルルーシュは少女の手を強く握った。
その返事に未だ喧嘩してた兄と親友は慌ててとりつこうとするがもう遅い。
 
 
「ルルーシュ!そんな簡単に!?」
「ちょっ待ってよルルーシュ!!僕は!?」
「お前たちなんか知るか。行くぞ、えっと?」
「アーニャ。」
「行くぞアーニャ。カレンと、神楽耶様も。」
 
 
颯爽とマントを翻して、三人の少女を連れて出て行ってしまう。
そんなルルーシュを見送ることしかできない、シュナイゼルとスザクだった。
てゆーか、一人だけ抜けがけずるい!!
二人の男がじっとりとピンクの少女を睨みつけるが、振り返ったアーニャは鼻で笑うと、嘲る様に口パクでこう言った。
 
 
「(ご・しゅ・う・しょ・う・さ・ま・!)」
 
 
 
かくて、ここにキングを守る四人官女が結成されたのである。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
(そういえばあれ、黒の騎士団に寝返ったんだよな?)
(うん、だから俺は一つ昇進。てかあのクソアマ覚えてろよ!)
 
 
 
 
その後の復活したジノと抜け目がない黒スザク。
 
 
 
 
 
 
 
 
End.