野球と罰ゲーム。

 

 

 

 

 

 

 

おお振り10巻読んで妄想。
野球パロなギアス。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
(こう?…あれ、こっち?)
 
(違う違う!…そう、それだよ。)
 
 
いまいち通じ合ってないバッテリーだなぁと思う。
のんきにミットを構えるスザクを見て、ルルーシュはため息を吐きたくなった。
何というか、彼のサインは行き当たりばったりなのだ。
こっちの体力も考えないし、相手の好きなコースにバンバン投げさせたりするし!
あ、言っててちょっと腹立ってきたぞコレ。
この回はこいつを抑えれば終わりだから、ベンチに戻ってたっぷり叱ってやろう。
そんなことを考えながら、振りかぶってストレートを中に低め。
予想通りに空振りしてくれたバッターに感謝して、二球目を放る。
これまた空振り、残る一球で決めてやる。
とルルーシュがスザクの方を見た時だった。
 
 
(サイン…!しかもこのコースは、)
 
 
記憶が正しければ、この打者が最も得意とするはずのコース。
何を考えているとばかりに睨みつけるが、向こうはこれで通したいらしい。
 
 
(馬鹿かお前!打たれるに決まってるだろう!)
 
(今のルルなら絶対大丈夫だから、僕を信じて!)
 
(…あぁもうっっ!!)
 
 
三球目、ルルーシュは結局サイン通りのコースに球を放った。
打たれると確信しながらも、どこかスザクの言葉を信じてみたかった。
パシンッとミットがいい音を立てた。空振り三振、まさか。
 
 
「ナイピッチ!ルルーシュ!」
 
 
面を外して嬉しそうに笑うスザクに、ルルーシュもこれまた困ったように笑うのだった。
 
 
 
 
(あんな所に投げさせて、打たれると思ってヒヤヒヤしたぞ!)
 
(でも結局は信じてくれたんだよね?ありがとう!)
 
(―――うるさいわっ!)
 
 
 
 
 
 
 
End.
 
  
  
  
  
  
  

***

 
 
 
 
 
 
【罰ゲーム?何それおいしいの?・前】
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
何だってコイツらこんなに強いんだ!!
すごろく三連敗中のルルーシュは唸っていた。
さいころを振っても振っても、止まるのは「スタートに戻る」や「一回休み」ばかり。
進んだり戻ったり忙しいルルーシュに、リヴァルやシャーリーは苦笑いである。
そんな中ミレイだけはニヤニヤと自分の駒を進めていた。
さいころの目は5。1,2、3、4、あ。
 
 
「やったーっまた私の勝ちぃ!」
「会長強ーい!あ、やった。これで私もゴールっ。」
「シャーリーもなかなかやるな…おっと。俺も三抜け!悪いなルルーシュ。」
 
 
次々にあがっていくメンバーに、焦るルルーシュ。
だが最後にリヴァルがあがったことで、勝敗はついたらしい。
もちろん、ルルーシュの負け。駒は未だにスタート付近を彷徨っている。
 
 
「ルルちゃん弱いわねー。よっぽど運がないわ。」
「悪かったですね、運がなくて!さ、遊びもこれくらいにして仕事仕事、と。」
 
 
立場が悪くなっていそいそとボードを片づけ始めたルルーシュを、ミレイがやんわり制す。
振り返って見たその顔には、一番意地の悪い笑みがまんべんなく貼り付けられていた。
 
 
「さ、お待ちかねの罰ゲームタイムよ!」
「なっ聞いてないですよ!今更なに」
「勝者には栄光、敗者には過酷な罰ゲームを、がうちの部活の原則よっ!」
「どっかの村の部活みたいなルール作んないでくださいよ!」
 
 
ルルーシュは精いっぱい叫んだが、聞いてもらえそうにはない。
しかも悪のりした残りの二人もノリノリである。
あれがいいこれがいいだの話し合っているが、そんなもの聞いてられるか!!
そろーり、三人に気付かれないように扉の前まで移動して、もう少しでノブに手が!
そんなとき、悪魔は音も立てずにやってきた。
 
 
「あ、ルルーシュ。今日はなにやってるの?」
「あーーー!ルルーシュ逃げようとしたわねーッ!?」
(どれだけKYなんだお前はーーー!!)
 
 
しかも急に開いたドアに額をぶつけてそりゃもう痛い。
相変わらずにこにこと立っているスザクは、もはや脅威である。
あの話を聞かれる前に身の安全を…!
 
 
「あ、ちょうど良かった。スザク君も考えて、罰ゲーム。」
「シャーリィィィ!!」
「何?何の罰ゲーム?」
「あのね、ルルがすごろく三連敗だからその罰ゲーム!」
「…へぇぇ、ずいぶん面白そうなことやってるんだね?」
 
 
あぁ天国のお母さんと癒しのナナリー助けてください。
お兄ちゃんは心が砕けそうです。もうこんなところでやっていけない!
 
 
 
スザクの顔は、それはそれは楽しそうに笑っていました。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
***
 
 

 

 
 
 
 
【罰ゲーム?何それおいしいの?・後】
 
 
 
 
 
 
 
「こうしましょう!ルルは一日メイドさんで生徒会メンバーにご奉仕!」
「却下です。」
「じゃあ僕はそれを却下!」
 
 
スザクの笑顔をこんなにウザいと思ったことはない。
つか親指ぐっとかやるな、痛いわ!
 
 
「じゃあ私は服選びに行かなくちゃ!というわけでお先に☆」
「あ、俺も行きます会長。」
「じゃあ私も!」
「…お前ら。」
 
 
なんかウキウキな三人は鞄を担ぐとそのまま出て行ってしまった。
じゃ、また明日楽しみにしてるね!なんて言い残して、だ。
明日?明日なんて来なければいい!一生な!!
こんな国早くぶっ壊してやる、と再度思ったルルーシュだった。
 
 
「でも楽しみだよね。君のメイドさん。」
「んなわけあるか。頭に虫でも湧いてるんじゃないだろうな。」
「ひどいな。僕はいたって普通だよ。」
「お前みたいな絶倫が普通なわけあるか。」
「やだそれ褒めてる?」
「褒めてない。」
 
 
きゃっと頬に手を当てて見せたスザクをぐーで殴って、黙らせた。
 
 
「痛いよルルーシュ…あ、もうこんな時間だ。僕仕事行かなきゃ。」
「なら早く行け!そして明日は学校を休めいいな!?」
「ははは。誰がそんな愚行を犯すか!ランスロット人質にしてでも登校させてもらうよ!!」
 
 
そんなあくどいことを言ってからスザクは何事もなかったかのように出て行った。
どうかそのまま帰ってこないでくれ。合掌。
そんなこんなで、運命の日は来てしまうのである。
 
 
「きゃぁぁぁあ!!可愛いールルー!」
「ぷくくく…確かに。」
「さぁて紅茶を入れてもらいましょうかメイドなルルちゃん?」
 
 
こんにゃろ!あとで覚えてやがれ!!
声には出さなかったのが奇跡なくらい。
 
 
「はい、入りましたよ会長。」
「こら!会長じゃなくてご主人さま、でしょ?」
「ご、しゅじんさま。」
「よくできました(にっこり)」
 
 
どうして自分の周りの人間はこういうのばっかりなんだ!!
なんて今更嘆いてもしょうがない。
こうなったら、あとはなるようになってしまえ。
投げやりになった矢先、生徒会室の扉が開いた。
条件反射なのだ。だって、なげやりだったんだし。
 
 
「お帰りなさいませ、ご主人さ、ま。」
 
 
そこには、にーーっこり、微笑んだ枢木様が。
 
 
「ただいまルルーシュ。会長、テイクアウトできますかね?」
「……何かを得るためには相応の対価がひつよ」
「止めてェェェ!もうそれ別モノになっちゃうから!!」
「じゃ、ルルーシュの隠し撮り10枚で。」
「乗ったわその話!」
「会長ォォォォォ!!」
「頑張って、ルルちゃん。大丈夫、明日は特欠にしといてあげる!」
「あとの心配しなくていいから今の心配してください!!」
「あら、ご主人さまの命令には絶対でしょ?」
「ふーんそうなんだじゃあそういうことだから行こうかルルーシュ。」
「あわわわわ…た、助け、シャーリー!リヴァル!」
 
 
最後の頼みの綱は、残りの二人だ!
必死に頼んでみるが、やっぱり、それは、無理。
 
 
「ごめんねールルー。会長命令だから。」
「俺は後ろで睨んでるスザクの方がこわ……いや、なんでもない。」
 
 
脅しなんかに屈するなッ―――!
血が昇ってぽっかぽかになった頭が、急に冷えた。
何事かと思って振り返ると、やっぱり、そこにはスザクさんが。
 
 
「じゃ、今日はご奉仕プレイね☆」
「プレッ…ふざけるなァァーーー!!!」
 
 
 
翌日本当に特欠になったことは、言うまでもない。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
End.