お姫様にはそれ相応の扱いを!
漆黒の髪を揺らせて、ルルーシュは街中を歩く。 待ち合わせの時間まではあと20分もあったが、余裕を持ってというやつだ。 場所に着いて、ベンチに腰掛けた。 意識的に指で髪の毛を遊ばせる。 いつものストレートとは違い、それには緩くウェーブがかかっていた。 (気付いてくれる…かな?) 意中の彼はものすごく鈍いという欠点があった。 下手したら一切触れられずにスルーされる場合だってある。 そんなのは流石に空しいと、ルルーシュは溜め息を吐くのだった。 (ヒールも新しく買ったし、) いやいや絶対に気付かれない。 髪を見ても分からない奴が靴なんか気付くはずがない! そうグルグルと悩んでる間に、約束の時間はきていたワケだが---。 (…来ないしっ!) イライラすると同時に不安になる。 こんなに浮かれているのはこちらだけなのだろうと。 向こうは別に大したことではないと思っているのではないかと。 徐々に涙の溜まる瞳には寂しさと悲しさの色が乗る。 ぎゅっとワンピースの裾を握った。 「…っっばか。」 「ごめんルルーシュ…」 「ひぅっ」 恐る恐る顔を上げると、泣きそうな顔をしたスザクが立っていた。 泣きたいのはこっちなのに、なんでお前が泣くんだよ!と喉をつきそうになるが気力で堪える。 そのまましゃがみ込んでしまったスザクの頭に一発お見舞いしてやった。 「あの、言い訳みたいに聞こえるかもしれないけど、」 「何だ早く言え。」 聞いたところで許してやろうかどうかはルルーシュの気持ち次第だが。 「転んで怪我したお婆さんを病院まで背負っていって家族の人が来るまで付き添ってて…全力で走ったんだけど間に合いませんでした!でも勘違いしないで!決して君の事を軽く思ってたわけじゃ、」 「ん、」 どうせ理由があるとしたらこんな事だろうとは思っていた。 お人好しのスザクのことだ、また何か親切を振りまいたのだろうと。 溜まっていた涙を拭い、もう一度ペチンと軽く頭を叩いてやる。 「…今のでチャラだ。」 「え?でも」 「私がチャラと言ったらチャラなんだ!それともあれか?お前は貴重なデートの時間を減らしたいのか?」 「えぇぇ滅相もございません!!」 ぶんぶん手を振って否定するスザクを可笑しそうに見つめて、ルルーシュは無言で立ち上がり手をついっと出す。 「えっと、」 「馬鹿、エスコートくらいしたらどうだ?」 イタズラっぽく笑い更に手を差し出す。 「…分かったよ。さ、姫様。お手を。」 「最初からそうしろ。」 「そういえばルルーシュ。」 「なんだ?」 スザクはまじまじと顔を覗き込んで、にっこりして言った。 「髪型、とっても可愛い。あと靴も。」 「……っ!」 照れて頬を真っ赤に染めるルルーシュの手をぎゅっと握る。 すると彼女も僅かながら握り返してくれて、スザクは嬉しさの余り飛び上がりそうになった。 「ね、今日はどこ行こうか?僕はルルーシュの好きな所が良いな!」 「…じゃあ新しく駅前に出来た店のプリンが食べたい。全部お前の奢りで。」 「えぇ!?何でさ!」 「私を待たせた罰は重いぞ。」 「だってさっきチャラって」 「気が変わったんだ!」 私を誰だと思ってる?と悪態までつかれてしまった。 それに苦笑いをしながら財布の中身を確認。 良かった、何とかなりそうだ。 「ほんっと、君はワガママだよね?」 「っ別にワガママなんて言ってない!」 「はいはい。でも、そんなルルーシュが可愛くて大好きだよ。」 「―――死ねっ!」 私もそんなお前が大大大好きだ!なんて言ってやんないんだからっ。 End. 全力でスザクとルルを幸せにしてあげよう計画(笑)
BGMに同名の某ボカロ曲を聞いてたらこんなんなりました…反省!
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