『愛してるって言ったらどうする?(ジノルル)』
「先輩、ルルーシュ先輩、」
「どうしたジノ。もうさっきの書類には目を通したのか?」
立場は学校では関係なし、と言った彼に甘えて敬語はなし。
もっとも、本来ならば彼が自分を敬わなければならないのだけれども。
だがルルーシュ自身そんなことを望んではいないのでそこはスルー。
ちらり、横目でわんわん大型犬のように懐くジノに目をやると、マリンブルーが自分を映すのが見えた。
なぜだかこの男はルルーシュにばかり構ってくる。
人間関係の良いリヴァルや、同僚のアーニャの方がよっぽど話しやすいだろうに。
わざわざあまり好意的ともいえない態度を取るルルーシュにだけ、ジノは懐くのだ。
「先輩、綺麗だなぁと思って、それに可愛いし。美人?」
「男に言っても喜ばれないぞ、それ。しかも可愛いって何が…ひぅっ!」
肩にしなだれかかったついでに耳たぶをぺろりとやられて変な声が出る。
やった本人はカラカラと笑って、こんな所が、と赤くなったルルーシュを見た。
未だ口をぱくぱくさせる彼を可笑しそうにしながら、やっぱり可愛いなぁと呟く。
何を言っても聞かなさそうな相手にほとほと困って、ルルーシュは遂に聞いた。
「なぁ、どうしてお前は俺だけに来るんだ。リヴァルもいるだろう?」
「それは先輩の方に仕事教えてもらいたいから。」
「教わるくらい、誰だっていいだろう?」
「良くない。ルルーシュ先輩がいいんですぅ。」
子供っぽく頬を膨らますジノを見て、何となく微笑ましい気持ちになってしまった。
…いやいや、そうではなくって!!
「だから、何で俺」
そこまで言って、ふと気がついた。
自分を見つめるマリンブルーが、いつしか深い真剣なものになっていたことに。
どきりとして、そこからは何も言えなくなってしまう。
「言わないと、分かんない?」
「え……ぁ、」
いつもの笑顔はなかった。
曇る意識の中で、こいつもこんな顔出来るんだ、なんて。
「愛してる、って。言ったらどうする?」
囁かれた言葉は、甘く。
End.
|