SE3派生でものすごくネタばれしてます。 アーニャとルルーシュ以外みんな空気かもしれないそんな話が許せる方はどうぞ。
「その日に限って、バックアップも取ってなかった…」
「アーニャ可哀想…」 シャーリーがそっと幼い肩を抱くと、アーニャはほろほろと涙を零す。
ひっく、うっく、と言う嗚咽は次第に大きくなる一方だ。 「ルル様の着替え途中のデータが入ってたのに…なかなかガード堅いから滅多にないルル様の裸だったのに…!」
「……は?」 同情が、不審に変わった瞬間だった。
「ワンピース着てくれたルル様も、はにかみルル様も、ご飯粒ほっぺに付けてるルル様とか、無防備な寝顔のルル様とか、眼鏡とかセーラーとか猫耳とかYシャツ一枚とかメイドとか私のラウンズ服着てくれたルル様とかルル様フォルダが全部消えた!勿論可愛い寝言を録音したボイスフォルダも何にもない所でうっかり転んだのを撮ってたムービーフォルダも全部消えた!」
ふぇぇぇんと泣くアーニャを慰めようとする者は皆無だった。
むしろ、彼女に向けられる視線より話の中心人物に向けられる視線の方が多いのだ。 その渦中の人物、ルルーシュは気まずそうに目を逸らしながら口元をひきつらせた。 「ねぇ、ルルーシュ。どういう事?」
同じく口の端を引きつらせたスザクが全員の気持ちを代弁して尋ねた。
ルルーシュは必死で目を泳がせながら言いにくそうにする。 「や、あの…どうも弱くて…」
あの小動物みたいな目が!と半ば叫びながら言った彼に、周囲の人はぬるい視線を送る。
ルルーシュが小動物系に弱いのは周知の事実だが、まさかこれほどまでとは。 ちなみにここでのこれほど、とはコスプレを指している。 あのプライドの高いルルーシュがコスプレ、ぶっちゃけ考えられない。 むしろ、自分達も小動物系に生まれてくれば良かった!とメンバーはすごく後悔していたり。 「ひっく、うっく……ルル様。」
ふいに、アーニャの悲しみの矛先がルルーシュに向いた。
「もっかい、ぐす、写真、撮らせ、っく、ください…」
「……へ?」 鼻水も垂れているのを見てルルーシュは思わず拭いてあげたくなる。
どうやら都合の悪い言葉は全て聞き流したらしかった。 ぐすぐす言うアーニャはルルーシュの袖を掴んで子犬ばりの潤目をしてみせる。 それをダイレクトに受けたルルーシュはというと、あぅだのはぅだの言いながら狼狽した。 「ね、ルル様。お願い?」
「う…うぅ。分かった!分かったからそんな目で見るな!」 やっぱり、結局こうなるのは見えていたけど。
実際に見たルルーシュの甘さに若干呆れてしまったのは内緒である。 でも、そんな照れたような顔も可愛いのだけれど。 「ありがと、ルル様!」
はにかんで笑うアーニャに絆されてついついその頭を撫でてしまうルルーシュは重症なのかもしれない。
そんなルルーシュに甘えるようにすり寄った人間が一人いる。 さらさらの金糸を揺らして先輩俺もとすり寄ってくるのは帝国屈指の騎士の三番目、ジノ・ヴァインベルグだ。 それに続いて偽りの弟のロロまでも捨て犬のような目で訴えるので、ルルーシュはこれ以上は恥さらしだと思いつつも断ることが出来ない。 そうして、ヤケであぁ分かったよ!と言ってしまったのだ。 それで一気に、ダムは決壊した。 「なら決定ね!今から帰ってルルちゃんの撮影会よ!!」
「は!?今何時か分かってますか会長?しかも俺が許したのはアーニャ達だけ」 ルルーシュの精一杯の抗議はミレイによって一蹴されることになる。
裸祭り時のテンションの彼女は無敵と言っても過言ではない。 ルルーシュでさえ勝てない、強敵なのだ。 「さーさー皆さん、学園に戻りましょー☆スザクくんは後片付けよろしくぅ!」
「えぇ!?僕もルルーシュのコスプレ見たいんですけど!」 「じゃあ早く片付けてねー?はいレッツゴー!」 「わわ、会長っ背中押さないで下さいっ。」 百物語のことなどとうに忘れて、笑顔で帰るスザク以外の面々をこっそり見つめる者がいる。
出るタイミングを逸してしまった可哀想な幽霊その人だ。 「楽しそうでいいなぁ…。僕も見たいなぁ。」
ふよふよと後を着いていった幽霊のせいで、撮った写真が全て心霊写真になったのはここだけの話である。
End. 何だかんだ言ってもルルーシュは動物系には弱いんだよね!っていう会話から生まれた話。
別にSE3からでなくてもいいんでないかという突っ込みはナシの方向で!!
アニャルルはほんと、両方可愛いものだと思う今日このごろです…。
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