だから僕が傍にいる

 

 

前半ちょっと下品です。下ネタです。既出ネタだったらすみませんorz

 

 

 

 

 

 

 

 

「だからC..、君はルルーシュの楯になってくれ。」
「随分勝手な言い分だな…」
 
 
薄い唇を尖らせて不満そうに言うC..に、スザクは背を向けて歩き出した。
そして後ろに立っているだろう彼女に向って、君は彼の共犯者だろうと問いかける。
追いかけてくる視線を振り切るように、スザクが角を曲ろうとしたときだった。
今までだんまりだったC..が突然鋭い声で呼びとめたのだ。
 
 
「待てスザク。共犯者だろうがなんだろうが、私は剣の方がいい。」
「は、はぁ?何言って…」
「だから私は攻めの方がいいと言っているんだ。突っ込む方がいいに決まっている。」
 
 
むぅと腕を組んで偉そうにする彼女を、スザクは訳が分からないという目で見つめる。
だがすぐにその意味を理解したらしく、ぼんと顔を赤く染めると大声でぎゃんぎゃん騒ぎ立てた。
 
 
「―――ッば、そっちじゃない!僕はっ真面目な話をだなっ」
「?ルルーシュが鞘というわけじゃないのか?」
「だから!どうして君はそっちの方に思考が行くんだ!!」
 
 
しまいには肩で息をして怒鳴るスザクに、C..は至極面白そうに声を転がして言う。
長いまつげに縁取られた琥珀がキラキラ揺れて、この状況を楽しんでいることが丸わかりだ。
それに気づいたスザクが「大体、」と声を張り上げたその瞬間、ルルーシュの部屋のドアが開いて中から主人が顔をのぞかせた。
 
 
「お前ら少し静かにしろ!!俺が今どんなに落ち込んでると思って…」
「聞いてくれルルーシュ。そうやらスザクはお前に突っ込みたいらしいぞ。」
「―――ッ!?待て!僕はそんなこと一言も言ってない!!」
 
 
少し涙目で潤んだアメジストがふるふる揺れ動く。実際少し泣いたのだろう。
目尻がほんのり赤く色づいている。ぶっちゃけ突っ込みたくないと言えば嘘になるが、しかし自分はあのときは真面目に言ったつもりだったのだ。こんなときにそんな不名誉な勘違い受けたくない。必死に否定してみるも、今までの行いが悪かったのかルルーシュは泣きそうな顔でスザクを見る。その視線には幾分の冷たさも含まれていて、スザクは本能的に危うさを感じ取った。やばい、このままでは大泣きしかねない。
 
 
「おっおまっ、うっく、おれのことっそんなめで、ひっく、みてたのか!!」
「ち、違うよルルーシュ!ちょ、泣かないで!おいC..、お前のせいだぞ!どうしてくれるんだ!」
 
 
本格的に泣きに入ったルルーシュの背をさすりながら、スザクはにやにや笑っているC..を睨む。だがそれにひるむことなく、彼女はルルーシュに語りかけた。
 
 
「残念だなぁルルーシュ。常に傍にいる騎士がそんなケダモノで。紅のナイトはそんなことなかったものな。」
「ひっく、ぅ、ええぇぇぇ、かれん…」
「だああぁぁぁ!!そうしてそう傷を抉るような真似を!」
「あぁそうだ。あんなに懐いてた大型犬を子猫もいないし、癒し系もいないな。困った。」
「ふっく、ぅぅぅぅぅ、ジノぉ、アーニャぁぁぁ…」
「C..!いい加減にしろ!」
「ま、精々慰めてやることだ。枢木スザク。」
 
 
おどけたようにそう言ってさっと廊下を歩いて行ってしまう女。
残されたスザクはルルーシュを何とかすべくよしよしと頭を撫でる。
ぽたぽたと床に溜まる雫を見て困ったように眉尻を下げると、未だ肩を震わせる彼の顔をそっと覗きこもうとした。と、その前にルルーシュが顔をあげ、二人の距離は唇が触れるか触れないかというところまで近くなる。少し近づけば啄ばめそうなルルーシュの唇に、スザクはあえてそうしなかった。否、する資格がないと思ったから。そんなスザクの胸元にルルーシュはそっと頭を預けると、小さな声でぽつりと言葉を紡ぐ。
 
 
「ひっく、ぅ、おそってもいいから、ふぇ、けだものでもいいから、」
「……ルルーシュ?」
「だから、はなれていかないで…」
 
 
思わずスザクは息を飲む。思えばそれはずっと抑え込んできた本音だったのかもしれない。
信じてきた人々にことごとく裏切られてきた可哀相な子供。たったひとりで戦ってきた孤独な少年。自業自得をはいえ、どんなに手を伸ばしても届かない、失ったたくさんの絆。どれだけ悔んだってそれらは返ってくるものじゃない。そしてルルーシュはその心にまた一つ、傷を増やすのだろう。けれど、とスザクは思う。立ち止まるわけにはいかないのだ。彼も、そして自分も。
―――共に為さねばならないことがあるのだから。
 
 
「大丈夫だよ、ルルーシュ。」
「…スザク、」
 
 
そっとルルーシュの頭を抱いて、囁くように言ってやる。
 
 
「これから僕はずっと君の傍にいる―――。」
 
 
その声に小さく頷いたルルーシュは、そのままゆるゆると眠ってしまったようだった。
さらりと零れる黒髪をつまみ、そこに口づける。
 
 
「だからルルーシュ、頑張ろう。」
 
 
 
 
 
 
 
世界が終る、その日まで――――――。
 
 
 
 
 
 
 
 
End.
 
 
 
 
超今更な23話派生。どんだけー!←
確か、見たあとすぐ書いたはずなのに紛失してたもの。
ファイルの中に普通に挟まってて吹いたw(ぇ
そして前半と後半の温度差がどんまいなことに…orz