3670現代同棲思いつきパラレル。
なんだかんだでスザクとジノとアーニャはルルーシュより年上。
「あれ、ルルーシュ痩せた?」
久しぶりに四人全員が集まったとき、それを言ったのはジノだった。
ルルーシュは別に、と言い張るがスザクやアーニャが見てもそれは明らかで、頬が少しこけているとか元気がないとかを理由にして、やっとルルーシュと体重計のところまで引っ張ってきた。
荷物のようにスザクが抱えあげて、アーニャはタイミングよく体重計の電源を入れる。
それから乗ってやるものかと暴れるルルーシュをジノとスザクが押さえつけて、漸くそのつま先が機械の上に触る。
「ほら、大人しくしてルルーシュ。僕ら君の体重が知りたいだけなんだから。」
「馬鹿!こんなのプライバシーの侵害じゃないか!!」
「別に興味とかじゃないの!ルルーシュが心配なんだって!」
ぐぐぐとつっぱるルルーシュに無理矢理言い聞かせるようにして、身体を下ろす。
久しぶりに会えたと思ったらまさかこんなことになっているなんて。
ジノやスザク、それにアーニャは中々この家には帰っては来ない。
それぞれがそれぞれの仕事の重役なのだ。死ぬほど忙しい身であるが故、なかなかルルーシュには会えずにいる。今日だって一か月ぶりの再会だった。
ここだけを聞くとさぞ三人を大変だと思うだろう。
しかしこれは自業自得、むしろ三人にとってみれば本末転倒そのものなのである。
どうしてルルーシュが一人でこの高級マンションに暮らしていられるかを考えればすぐ分る。
それは三人が彼を囲っていると言えば正しくて、ルルーシュは養われている身なのだった。
家賃は全額スザクの給料から引かれているし、買い物資金だってアーニャのお金だし、家具やら何やらは全部ジノが揃えた物だしで、事実ルルーシュが払っている分はゼロだ。
そんなことはさておき、現在ではまだ格闘中である。
何がって、それはルルーシュと体重計が。
「いーやーだー!乗るもんか!絶対のらないっ!」
「こらっ大人しくしろってば!!アーニャっヘルプだ!」
「…ルルーシュ、いい加減にしないと私怒る。」
ヘルプで呼ばれたアーニャは静かにそう告げる。
するとスザクの腕の中で一回ひどく跳ねると、それきり無抵抗におさまった。
ジノとスザクは顔を見合せ驚いたという表情をする。
アーニャは相変わらずの無表情だが、よく見ると怒っているようにも取れる。
彼女もルルーシュのことが心配なのだ。怒るのも無理はない。
そう、例え、ルルーシュがすんごく泣きそうに怯えていたとしてもだ。
過去に何を怒られたのか問いたい衝動に駆られたジノだったが、冷静な判断で止めておいた。
それは、たぶん正しいことであると思う。
「それじゃ下ろすよ?よ…っと、」
「えーと…よんじゅうきゅうてん、って、五十ないんかいっ!?」
「うそっ!?だってこないだ会った時は53くらいあったよねルルーシュ!?」
「あー…うん。」
何か思い当たる節があるのか、途端に顔をそむけ口ごもるルルーシュに二人は詰め寄る。
無理くり頬を両手で挟み視線を合わせると、「えへ」と誤魔化すように笑った。
いやいや、確かに可愛いんだけれども、こんなことで騙されてたまるか!!
「何があった!いったい僕らが帰ってない間何をしたんだルルーシュ!」
「あれだろ、食生活だろ!!今朝は何食べたんだよ!?」
「…た、卵かけごはん」
「昼は!?」
「…卵かけごはん」
「待った。昨日三食何食べた?」
「………卵かけごはん。」
段々と尻すぼみになっていく言葉はとんでもないものだった。
まさかの信じがたい事実が脳天を直撃し、三人は何も言うことができない。
しかもこの場合「一週間何食べてたんだ」の問いにも「卵かけごはん」と返ってきそうで怖い。
こわごわとこちらの様子を窺うルルーシュにくるりと向き直すと、その華奢な肩をぐっと掴み、とりあえずお説教モードに突入することにした。
「…何で三食卵なのさ。もっとおかずとかあるでしょ?せめて卵焼きとか。」
「だってめんどくさ…あぅ!」
言った途端に頬をつままれて、ルルーシュは鈍い痛みに悲鳴を漏らす。
ちょっといい気分になるのは気のせいである。断じて、やましい気持ちではない。
「たっく、どうして君はそんなにめんどくさがりなのかなぁ…」
「しょうがない…ルルーシュはこういう子。」
「こういう子って、俺はもう19だ!」
「でも私たちより四つも下だぞ?」
ジノがふざけて頭をぽんぽんと叩いてやれば、ルルーシュはむくれて「むぅ」と唸る。
そんなところもたまらなく可愛いのだが、しかしそれとこれとは話が別だ。
ルルーシュに一人で生活させるのはまずい。
このままでは本当にがりがりになってもおかしくないのだ。
三人がそれぞれふぅと溜息をついて、スザクが最初に口を開く。
「分かったよ。僕明日仕事休む。そいで、ルルーシュ矯正し直す。」
ご飯も作ってあげなきゃいけないし、と付け足すとジノもそれに賛成した。
「スザクが休むんなら私も休む!有給取るから問題なしっ」
「私はもとから休み。」
アーニャもそう言うと、ルルーシュはぱっと顔を輝かせてほころんだ風に笑う。
誰のせいだと思ってるのかなんて思うけど、それも全部許せてしまえて。
呆れたような微笑みは、すぐに幸せの笑みに変わった。
「またっ明日も一緒にいられるんだな?本当だなっ?」
「何よろこんでるんだか…明日はみっちりしごいてやるから覚悟しなさい。」
「うぅ…スザクの横暴め。」
「ルルーシュ!私は優しくしてやるぞ?」
「んー、じゃあジノがいい。」
「ルルーシュ、私を忘れてる。」
「あ、やっぱりアーニャ。」
明日に続け、幸せDAYS
四人で過ごすのが何よりの『幸せ』だから。
End.
いろいろ突っ込んだら負けな現代パラレル。
どんな形であれルルーシュを幸せにし隊!←
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