闇の夜、悪魔の宴

 

 

 

!本編に入る前に必ずお読みください。

*:ホラー、グロが苦手、または受け付けない方は今すぐブラウザバックでお戻りください。

*:シュナイゼルのルルーシュに対する扱いが鬼です。

*:八割がた「うみねこ」ネタです。

*:読んでからの苦情は一切受け付けません。自己責任でお願いします。

*:後味の悪さは保証します。

 

以上を読んで、ご理解頂けた方のみスクロールで下へどうぞ。

本当にご注意、お願いします!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハロウィン、パーティー…?」
「そうなんだよ、どうしてもルルーシュを連れてきて欲しいって殿下がさ。」
「迷惑だったら断ればいいよ。ジノの首が飛ぶだけだしね。」
 
 
スザクの言うとおり、ルルーシュはこんな話断ってしまいたかった。
この話の始まりは、ジノがこの間撮った生徒会の集合写真をシュナイゼルの前でうっかり落としてしまったことにある。それを拾って見た彼は是非この友人達も今月末に開かれるハロウィンパーティー呼んだらいいと言ったらしい。しかも特にルルーシュを指して。
普通庶民は皇族や貴族の混じるパーティーに参加することなど到底不可能だ。
しかし宰相閣下直々の招待となれば話が別。
そわそわしながらも楽しみにしているシャーリーやリヴァル、お祭り大好きで参考にならないかと厭らしい笑みを浮かべるミレイなど、他のメンツはノリノリであった。
そこでそうしても乗らないのがルルーシュとロロだ。
苦い顔をして断り続けるルルーシュを心配そうに見つめるロロ。
『特にルルーシュを指して』というところが引っかかっていた。
それは正体がばれているということなのだろうか。それとも単に気になっただけ?
面影が似ているとかの話だったらいいと思いながらも、一抹の不安が拭いきれない。
何とかして話を断ろうとスザクに助けを求めるが、頼みの彼もこれだけは把握できていないらしく、焦っているような困っているようなそんな表情を浮かべていた。
本当にシュナイゼルの気まぐれだったのだろう。
しかも断るとジノの首が飛ぶらしい。それは可哀相なことだが、自分の身には変えられない。
もし連れ戻された先にあるのは、拘束か、処刑か。
想像し身震いしたルルーシュに、ジノは引き下がらずお願い、と繰り返す。
結局未だ反対を示すルルーシュを、リヴァルやミレイもいいじゃないかと説得した形になって当日参加することになってしまったわけだが、やはり気分は乗らなかった。
ハロウィンなんてろくなものじゃない、と記憶の中の幼い自分が語る。
というか、シュナイゼル自体あまりルルーシュは好きではなかった。
ことあるごとに自分を虐めてくる義理の兄。
暴力は何も力だけではない。ひどい言葉もたくさん吐かれた。
ルルーシュはどうしてそんなに馬鹿なのか?お前は本当にここの子供なのか?
小さなルルーシュはかわしきれない言葉のナイフに何度涙を流したことか。
唯一勝てると思ったチェスでも惨敗し、しかも手ひどい罰ゲームを受けた。
一番ひどかったのがなんて言ったってあの、ハロウィンパーティー!!
あの時に出された料理、あれは完璧なルルーシュのトラウマになっていた。
堪え切れず吐いてしまったルルーシュを楽しげに見つめる義理兄の眼は今でも忘れない。
フラッシュバックのように頭の中で広がる光景に吐き気を催し、慌てて洗面所へ駈け込む。
落ち着かない胃を無理やり押さえつけて、ルルーシュは自分が映る鏡を睨みつけた。
 
 
「あなたは…どれだけ俺を苦しめれば気が済むんだ…あにうえ」
 
 
泣きそうな声は、あの日の自分の叫び声に聞こえた。
 
 
 
 
***
 
 
 
 
「君達がアッシュフォード学園の?」
「はい、本日はお招きいただき感謝しております。シュナイゼル殿下。」
 
 
色の薄い金糸を揺らして、シュナイゼルは優雅に微笑んだ。
それに中てられたのかシャーリーはほわわんと頬を赤らめている。
見えない影から様子を見守っていたルルーシュは苦々しげに彼らの姿を見つめていた。
周りには豪華な料理が並び、色鮮やかに彩る数々の菓子もあった。
流石ハロウィンというべきか、ジャック・オ・ランタンの飾りもあちこちに置いてある。
不気味な笑みを湛えるそれが、これからの不吉の象徴だと思うのはルルーシュだけだろうか?
ちびちびとミネラルウォーターを口にして、深いため息を吐く。
隣のロロがぎゅっとジャケットの裾を握り締めてくる。
それに応えるようにルルーシュは弟のミルクブラウンの頭をそろりと撫でた。
そこで自分たちに暗い影がかかったのに気がついて、ふと視線を上げる。
目線の先には、恐れていた人物・シュナイゼルが穏やかな笑みを見せて立っていた。
 
 
「やあ、君たちもヴァインベルグ卿の友人かい?」
「ぁ…シュナイゼル、殿下」
「パーティーは楽しんでるかな?ルルーシュ・ランぺルージ君」
 
 
その瞬間ルルーシュはすくみあがった。
言ったニュアンスで理解したのだ。
自分の正体はばれていることを。こんなところに来るべきではなかったことを。
さぁと顔を青くするルルーシュをおかしそうに見て、くつくつと彼は笑う。
 
 
「っ、ちょっと気分がすぐれないので…俺たちこれで失礼します。行こう、ロロ」
「あっ兄さん!…失礼します、殿下。」
「待ちなさい」
 
 
その一声がせっかく動いた身体をまた拘束してしまう。
一歩も歩み出せないルルーシュの手を引き、シュナイゼルは近くのテーブルへ誘った。
嗚呼見たくもない。そこにはいつの日かも見た大きな大きな七面鳥。
賢いルルーシュはそれが何なのかをよく覚えている。
切り分けたらどうなるか、何が出てくるのかをよく覚えている。
途端こみあげてくる吐き気に耐えきれず口元に手をやると、シュナイゼルは気にした様子もなく料理人に、鳥にナイフを入れるよう命じた。
少し遠くにいたスザクやジノも異常事態に気がついたのか、こちらに寄ってきたところだ。
だがそんなことを気にしていられるほどルルーシュに余裕はない。
それを切ってはいけないのだ。駄目、ナイフなんて入れたらあれが出てきてしまう。
ついに立っていられなくなったルルーシュは、大理石の床に膝をついた。
心配しているのか、スザクが背中をさすってくれるが何の役にも立っていない。
ちらりと視界の端に映る大きな七面鳥に、鈍く光るナイフの先が突き立てられた。
ずぶずぶと食い込んでいくそれ。切り裂かれる肉の中から出てくるもの。
あのハロウィンの日、小さなルルーシュは最初何も教えられていなかった。
ただ切り裂かれる七面鳥を見ていなさいと言われただけだ。
シュナイゼルの言葉に従ってその光景を眺めていただけだった。
今から思えばあの兄が単に自分に良いことをしようとするはずがないのだと気付くべきだった。
そして、その日を死ぬほどルルーシュは後悔した。
知らなかったことこそ、シュナイゼルの罠。
そして今この瞬間、それが再び繰り返されようとしている。
必死に目をそらそうにも、筋肉が麻痺してしまって思うように動かない。
そして、ぐちゃりと何かがつぶれる音が聞こえた。
 
 
「うっ…うぐうぅぅぅぅぅうぅ!!」
「おや、君もこれがお気に召さないのかな?」
「ルルーシュ!?大丈夫!?」
 
 
それは所謂びっくり料理。
だが『びっくり』などという可愛らしい表現には収まりきらず、それは中々にグロテスクだ。
中から蛆虫の如く湧き出してくるのは赤く色づいたケチャップライス。
ご飯の一粒がぽろぽろぽろぽろ、まるでそれ自体が意志を持って七面鳥の腹を食い破って出てきたようだった。最初に見た時は確かに驚いた。ただそれだけだった。
しかし兄は、分からない自分にこう囁いたのだ。
 
 
『ご覧ルルーシュ。まるで蛆虫のようだ。血をいっぱいに腹に溜めた蛆虫が、鳥の腹を食い破って出てこようとしているよ。』
 
 
聞いた瞬間にそれは恐怖の象徴と化した。
頭に湧いてくるイメージは消せ切れない。
兄は、最初から自分を虐めるためだけにハロウィンパーティーを開いたのだと悟った。
 
 
「うっ…ひ、ぅぅぅぅ」
「落ち着いて、ルルーシュ。どうしたの?!」
「……同じだね。弟と全く同じ反応だ。」
 
 
やっぱり私のルルーシュだったんだね?と言ってシュナイゼルは優雅に笑った。
強烈な吐き気を不快感で蹲ったまま動けないルルーシュを見下ろして、切り分けられた七面鳥とケチャップライスをスプーンに掬い口に運ぶ。
 
 
「やはり、君の不幸は蜜の味だよ。ルルーシュ」
 
 
潤んだ瞳で見つめた義理兄の顔は、まさしくあの日と同じ顔だった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ハッピーハロウィン!フォー・マイ・ルルーシュ!
 
 
 
 
 
 
 
 
闇の夜、悪魔の宴、捧げられたのは哀れな子羊が一頭。
 
 
 
 
 
 
 
End.
 
 
 
 
なんという後味の悪さだ!
うみねこに完璧に感化された模様です。だってハロウィンっていったらこれしか(ry
土下座します…orz